香りをブレンドするときに、いつも同じ安定した香りを求めるのであれば
合成香料が必要になります。
精油の香りはメーカーによって、収穫した産地によって、さまざまな理由で変動します。
同じ種類の2滴のオレンジ精油を用いても出来上がる香りは
その時に使う精油により異なるという意味です。
アロマテラピーで精油をブレンドするときには、成分調整をかなりしているものを除いては、
毎回ある程度香りが異なる、その香りの違いを楽しむことこそ、
精油の香りを楽しむことだと思ってもらうといいなと思っています。
今回のミカンは酸っぱかったけど、
前回のミカンは甘かったということが香りでも自然なのです。
そういう意味で精油でつくった香りは一期一会という魅力があります。
そして、アロマテラピーで用いる精油は軽い香り、
トップノートの香りが多く含まれますので
香りは長持ちしません。
でもすぐ消えることがまた良いところだという考え方もできます。
だからこそ、精油をブレンドするときには特に絶対的な正解はないのですが、
今日のオレンジの香りにはどの精油をブレンドすると更によい香りになるかなと
その都度想像すること、イメージすることが必要となります。
「オレンジ」ではなく、今目の前にある「オレンジ」と向合うことが必要なんですね。
これは製品として毎回安定した香りをつくることが求められる調香師さん
とは少し異なるところですね。
人によって好みも違うので、精油どうしをどの比率で混ぜ合わせるのかも自由です。
ラベンダーを甘くしたいというときにもどのような甘さが欲しいかによって
ベンゾインとブレンドしてもいいですし、サンダルウッドとブレンドしてもいいですし、
オレンジとブレンドしても正解なんです。
もちろん、香りの強さなどには馴れていくといいでしょう。
イランイランのようにパワフルな香りに、軽めのレモンを1:1で入れても
イランイランの香りしか感じられないなんてこともあります。
そんなときにはイランイラン1滴に対してレモンを5滴いれてみたら、スッキリした香りの奥に
エレガントな甘さが感じられることもあります。
精油をブレンドするということは
それぞれの香りの特徴を知り、
まるで赤色と白色の絵の具を混ぜて
自分の欲しいピンク色をつくるようなものです。
どのピンクが正解ではなく、
自分の好きなピンクをつくるというところがポイントです。
そんな風にブレンドを楽しみ、香りにさまざまなイメージを重ね合わせ想像していく作業の中で
私たちな自分の内面、感情などに気づくこともあります。
そして自分の好きな香りが最も脳に良い働きをもたらしてくれます。
皆が好きな香りが正解ではなく、自分が好きな香りが正解です。
こんな風に考えて
テクニックにこだわらず
自由に香りづくりをする人が増えるといいなと思っています。
アロマテラピーは感受性を引き出すセラピーなんだと思います。